この記事では、企業さまが企業都合での解約(キャンセル)を判断する際の判断軸や参考事例を共有します。
なお、解約の合理性・相当性が認められるかは最終的に個別事情に基づく司法判断となります。
形式的に「解約可能事由」に該当するからと言って、休業手当の支払い不要をお約束するものではありません。
解約判断の3つの確認ポイント
企業さまが解約を検討する際に、企業さまご自身が事実関係を整理して判断するための3つの大事な観点・考え方です。
- 非予見性:その事情は、契約成立時点で予期できなかったか
- 合理性:客観的に見て、就業させることが難しい事情か
- 相当性:解約以外の方法を検討してもなお、解約が必要か
| 非予見性 | 合理性 | 相当性 | |
| チ ェ ッ ク |
その出来事は、労働契約成立後に、「想定外に、突発的に」起きたことですか? | 「これでは確かに、人を呼んでも仕事をお願いできないね」と納得する内容ですか? | 社内・作業の調整や、ユーザーに別の業務をお願いしたりして、雇用を維持する努力は検討されましたか? |
| ポ イ ント |
「突然起きたか」だけではなく、その時点で通常は見通せなかった・予期できなかった事情だったかです。前から繰り返し起きていたり、あらかじめ織り込まれた事情(例:普段からよくある物量の微減など)の場合は、予期できていた事情として対象外となります。 | 「社内都合だから(例:他の社員が出社して人が足りることになった)」ではなく、募集内容や当日の状況に照らして、就業を継続させる合理的な前提が失われているか、という見方です。 | 「解約が”やりすぎ”にならない適切な対応か」を見ます。少しの状況変化に対して、すぐに「全員キャンセル」とするのは、法的なバランス(相当性)を欠くとみなされるリスクがあります。 |
解約判断の事例集
シェアフルは紹介会社であり、ユーザーと直接の雇用関係にあるのは企業さまです。
また解約の可否判断は個別事情をもって判断されるものであり、最終判断は司法に委ねられます。
そのため、個別の事案に対して「このケースなら休業手当不要で解約できる」と弊社が断定・保証することはできません。
以下については、企業さまが「3つの確認ポイント」に照らして判断する際の、あくまで参考としてご活用ください。
■物流系企業の場合
| 事象例 | 判断の視点(①非予見性 ②合理性 ③相当性) | 解約の妥当性 |
| 大型ソーター(自動仕分け機)の突発的な故障 |
①機械故障はマッチング時点で予測不可能(予期不可) ②作業自体が物理的に不可能(合理性あり) ③修理の目処が立たず、手作業への振替も限界(相当性あり) |
高い |
| 当日の出荷物量が、事前の予測より10%少なかった |
①物量の微減は日常的な変動範囲内(予期できた可能性) ②仕事はあるが「早く終わりそう」という程度(合理性に欠ける) ③早上がり等の調整ではなく即解約はやりすぎ(相当性を欠く) |
低い |
■飲食・小売系企業の場合
| 事象例 | 判断の視点(①非予見性 ②合理性 ③相当性) | 解約の妥当性 |
| 厨房の水道管破裂による臨時休業 |
①マッチング時点で予測は不可能(予期不可) ②保健所の指導もあり営業自体ができない(合理性あり) ③店を開けられないため、雇用の維持が物理的に困難(相当性あり) |
高い |
| 入居している商業施設全体の停電による全館閉館 |
①施設側のトラブルであり自社で制御・予測不能(予期不可) ②店に入ることすらできず、就業場所が消失(合理性あり) ③不可抗力に近い事態であり、解約は止むを得ない(相当性あり) |
高い |
| 急遽、自社のアルバイトが出勤できることになった |
①自社スタッフの調整ミスや都合(予期できた範囲) ②仕事自体は存在しており、企業の内部都合(合理性に欠ける) ③自社スタッフを優先するためにユーザーを解約するのは不当(相当性を欠く) |
低い |
■人材系企業の場合
| 事象例 | 判断の視点(①非予見性 ②合理性 ③相当性) | 解約の妥当性 |
| 発注元の工場が火災や大規模停電で完全に施設が閉鎖された |
①クライアント先の不可抗力による閉鎖(予期不可) ②受託している業務の提供先が物理的に失われた(合理性あり) ③自社で代わりの就業場所を提供することも困難(相当性あり) |
高い |
|
予備人員として多めに集めたが、 欠勤が出なかったので余った人を解約したい |
①念のための過剰募集は自社の管理判断(予期できた範囲) ②仕事は存在するが、自社の効率化のための解約(合理性に欠ける) ③企業の保険としてユーザーを確保し、不要になったら解約するのは 不当(相当性を欠く) |
低い |
■イベント系企業の場合
| 事象例 | 判断の視点(①非予見性 ②合理性 ③相当性) | 解約の妥当性 |
| 出演者や講師の急病によるイベント自体の直前中止 |
①マッチング時点で出演者の急病は予測不可能(予期不可) ②イベント自体が消滅し、運営業務も存在しない(合理性あり) ③代替イベントの開催も難しく、解約はやむを得ない(相当性あり) |
高い |
| 来場者見込みが下振れたため、スタッフを5名減らしたい |
①集客の変動はイベント運営上の想定範囲内(予期できた可能性) ②仕事自体はあるが人件費を削りたいという経営判断(合理性に欠ける) ③一方的な契約破棄ではなく、勤務時間の短縮や他業務への 振替を検討すべき(相当性を欠く) |
低い |